距離の制約を超えた商取引を可能にする越境EC
越境ECは、国境を超越したEC(電子商取引、インターネットでの通信販売)のことを指します。つまり、インターネットでの通信販売を介して外国に物を売ることを言います。越境ECサービスでは基本的に外国語対応が施されており、外国人に自社の商品を買ってもらえる環境を整えています。
具体例としては、北海道のお土産を取り扱う「山ト小笠原商店」が2012年に開始した「北海道お土産探検隊」という越境ECサイトなどが挙げられます。この越境ECサイトは2014年には売上1億円を突破するなど、海外での人気が爆発的に広がっています。顧客の7割は中国人であり、北海道土産の定番の白い恋人などを中心に購入されています。中国の購買力は、日本に来る中国人観光客も大きな影響を与えていますが、日本に直接足を運ばない中国人もネットを通して高い購買力を結果的にアピールすることになっています。
越境ECを活用することのメリットは2つです。
①出店側にとって、海外に店舗を進出しなくても外国人に商品を売ることができる。
②顧客側にとって、わざわざ日本に足を運ばなくとも欲しい商品をインターネット経由で購入することができる。
つまり、越境ECはインターネットによって距離の制約にとらわれない商取引を実現させたものです。この越境ECの影響力の高まりの背景にはインターネットの通信技術や決済技術の発達とともに、消費者のインターネットリテラシーの上昇があります。また高機能デバイスを持つことができることで、より多くの選択肢が増えることにもなります。
越境ECとインバウンド対策の関係性
この越境ECですが、実はインバウンド対策と密接に関わっています。というのは、越境ECは実物を日本で見た訪日観光客が、帰国してからも越境ECサイトを使ってリピート購入するというスタイルが確立されているからです。
日本に来て、日本の商品に魅せられた外国人が、帰国しても継続的に商品を買い続けたい。そういった際に利用されるのが越境ECなのです。従って、インバウンド対策を通じて外国人を日本の自分の店舗に呼び込むことができれば、そこで獲得したファンが越境ECを利用してくれるわけです。
日本でしか買えない商品を売っている小売業者、またはメーカーの場合、実店舗でのインバウンド対策と越境ECサイトの充実、この2つはいわば車の両輪です。インバウンド対策と越境ECサイトの充実によって、自社の売り上げを増加させることができます。
また、日本への旅行者数は毎年右肩上がりが続いており、2015年は10月の時点ですでに1年間の訪日者数は過去最高を記録しています。今後もアジア諸国の経済発展に比例して、購買力を持った外国人旅行者は増え続けていくと考えられます。早めの対策が、今後の売り上げアップに大きく貢献することは間違いないと言えるでしょう。
「インバウンド対策で獲得したファンを越境ECでキープし続ける」というスタイルは、国内需要の増加があまり見込めない現在の日本における有望な手段の一つになってきます。
・店舗のインバウンド対策(商品やサービスに外国語翻訳をつける、海外のSNSに自社情報を投稿する)
・自社商品やサービスを海外に販売するための越境ECサイトの準備
早めにこの2つの準備をすることでこれから広がり続けるだろう、海外の日本需要にしっかりと応え、売り上げもアップする爆発力を備えましょう。
今回はインバウンド対策と越境EC対策の意外な関係性についてご説明してみました。
参考URL
https://netshop.impress.co.jp/node/1548