ITインフラの世界的格差減少の潮流


より多くの人にオープンな情報社会へ

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新興国では急速な経済発展が進んでいます。それに伴い、情報通信環境の整備も進められていることが、ITU(国際電気通信連合)の「世界全体のパソコンやインターネットの普及率推移」を参照すればわかります。新興国におけるインターネット普及率は、2005年の8.1%から2015年には34.1%にまで上昇しました。

それでは、新興国の情報通信環境は先進国との格差をどれくらい縮めることができているのでしょうか。総務省の平成24年度情報通信白書に、固定電話、携帯電話、インターネット及びGDPの世界的格差の度合いを示すローレンス曲線のデータがあります。ローレンス曲線は、45度線に近づけば近づくほど、格差が少なくなっている状況を示しています。

ローレンス曲線

出典:総務省 平成24年度情報通信白書

いかがでしょうか。GDPの格差の減少があまり進んでいないのと比較して、固定電話、携帯電話、インターネットの格差は大幅に減少しています。特に携帯電話の格差是正にはめまぐるしいものがあります。これらの格差是正の要因として、情報通信白書では以下のように述べられています。

このような携帯電話の急速な発展の要因としては、複合的な面があると考えられるが、途上国側と先進国側のそれぞれに固有の要因があると指摘されている。途上国側の要因として、第1に、携帯電話の音声通話は、文字が読めなくても利活用することが可能である。第2に、設備面においても、ネットワーク整備の際、点でのインフラによって整備を行うことが可能であり、ネットワーク整備にかかる投資コストや維持管理コストが固定電話と比較して相対的に小さいと考えられる。第3に、プリペイド方式での料金徴収が可能であるなど、条件面で利用者にとっても容易な点が挙げられる。このような途上国側の要因に、先進国における携帯電話市場の飽和や携帯電話(特に3Gへの技術移行に伴う2G)の低価格化等先進国側の要因も相まって、急速に普及したことが考えられる。
従来は、所得水準も教育水準も低い国や地域においては、貯蓄が不十分で投資余力がなく(インフラの壁)、また、技術の受け入れ・定着が進まない(技術利活用の壁)ため、経済発展に向けた内生的なメカニズムが働きにくいと考えられてきた。しかし、携帯電話などのICTが一度社会に普及すれば、その音声機能を出発点としつつ、次第にSMSなどの利用を通じて、文字情報の利活用機会が広がる(図表1-2-3-3)。また、携帯電話をマイクロファイナンスとして応用する等、従来の銀行制度からは縁遠かった人々が貨幣経済に加わる道も広げつつ、「インフラの壁」「技術利活用の壁」を打破し、ネット化への流れを進める潜在力を有していると考えられる。

より多くの人に門戸開放されたインターネットの世界

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ネット環境が整備されることで、新興国の人々もインターネットの世界に飛び込むチャンスが生まれました。彼らは今後このチャンスを生かして、様々な方法でインターネットの世界を有効活用するでしょう。

その兆しの一つに、クラウドソーシングの拡大も位置付けることができます。クラウドソーシングは、住む場所関係なくあらゆる仕事を引き受けることができます。余剰労働力の豊富な新興国がアクセスできることで、クラウドソーシングは多くのフリーランサーを確保することができました。

クラウドソーシングなどといった新たなビジネスは、新興国の人々の新たな収入源となります。従って、ローレンス曲線で格差是正があまり進んでいなかった、GDPの格差を縮める可能性を秘めているのです。今後の新興国の情報通信情勢にも目が離せません。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc112320.html

http://www.itu.int/en/ITU-D/Statistics/Pages/stat/default.aspx


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